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2022年11月の2 中小企業が陥りやすい8つのワナ

中小企業が陥りやすい8つのワナについてまとめてみました。営業活動をしていくにあたって、中小企業経営者たちと知り合いになることも多いです。そんな中小企業の考え方や行動、経営の成り行きなどについて観察していくといろいろと学べることも少なくありません。ここでは中小企業が経営で失敗する要因を分類し、おおまかに8つのワナとしました。この「中小企業が陥りやすい8つのワナ」を参考にしていただき、経営で大きな失敗をしないための参考としていただければ幸いです。

2022年11月の2 中小企業が陥りやすい8つのワナ

世の中には様々な企業が営業活動をしています。社会は刻一刻と変化しており、企業経営者はその変化に適切に対応しながら経営していかなくてはなりません。多くの中小企業の経営者たちも、社会の変化に対応しながら経営の維持、発展を図っているはずです。
経営がうまくいく、いかないは企業によってまちまちです。順調に売り上げを伸ばして成長している企業もあれば、現状維持が精いっぱいの企業もあります。なかには、衰退し経営が危なくなっていく企業も少なからずあります。
ところで、成長する企業、現状維持が精いっぱいの企業、そして衰退していく企業には、どんな違いがあるのでしょうか。うまくいく経営者といかない経営者とては、一体何が違うのでしょうか。
よくよく観察していくと、経営者の考え方や行動によって、経営の成り行きが大きく違っていることがわかります。ここでは中小企業を対象にタマツラボが接した経営者について観察しました。そして、彼ら中小企業経営者たちが失敗する際に陥りやすい間違った行動あるいは思考のバイアスといっていいような考え方について、中小企業が陥りやすい8つのワナとしてまとめてみました。
もし経営者がこのような考えに陥っているとすれば危険信号です。もしあなたが中小企業の経営者であれば、よくよく注意してこのような思考に陥らないよう、経営を失敗させないように心がけましょう。
大切なのは市場競争で勝ち残っていけるような経営をすること、そのためにも社会の変化を正しく把握すること、そしてその変化に適切に対応し、手を打っていくことです。ぜひとも、間違った思考のバイアスに陥ってしまわないよう、十分に注意しましょう。

「1.失敗を認めなくなってしまうワナ」

中小企業の利点は小回りが利くことです。社会の変化にも素早く対応し、変わり身を速くして動けるのが小さな組織の利点です。何か事業で失敗したときでも、素早く撤退あるいは軌道修正するなどして傷が深くなる前にリカバリーすることが大切です。特に中小企業は事業の失敗で深手を負うと致命傷になりかねないので、失敗したときの軌道修正や撤退は速いに越したことはありません。
ところが、経営者が失敗を認めなくなってしまうと企業にとっては危険です。赤字の事業や見込みの無いプロジェクトをいつまでもズルズルと続けてしまえば、経営は一気に行き詰ってしまうかもしれません。
たしかに、失敗を認めたくないときはあります。とりわけ経営者の意地やプライドに関わるところで失敗してしまうと、経営者としてもなかなか負けを認めたくないのも致し方ないかもしれません。でも、だからといって失敗を認めずにズルズルと同じことを続けていると、取り返しのつかないことになるかもしれません。
「失敗を認める」ことも経営者には往々にして必要です。特に変化が激しい時代では、失敗したら経営者ができるだけ速くその失敗を認めて軌道修正しなくてはなりません。小回りが効いて速く軌道修正できることこそが中小企業の強みですから、その強みを失ってはいけないのです。

「2.社内の不満を放置してしまうワナ」

企業の経営者が恐れなくてはならないのは社内に潜む様々な不満です。人はいろいろなところで不満を感じます。お客様や従業員、仕入れ先の不満が蓄積されると、様々な問題を引き起こすことになります。
例えば、従業員の不満を放置すると、
①優秀な従業員がやめる、②密告や告げ口の応酬が発生する、③従業員同士で足の引っ張り合いをする、④個人情報・顧客情報が流出する、⑤転職やライバル企業として起業するなどの裏切りが起きる、⑥ネットで誹謗中傷されたり、場合によっては訴訟される、⑦従業員のサボりが横行する、⑧業務時間中にコソコソ副業する従業員が増える
などが発生しやすくなります。
このような問題が起きると、中小企業の経営者は従業員への監視を強化したり、個別の問題への対処に時間を取られたりすることになります。そうすると、経営者として本来の仕事に集中できなくなるだけでなく、さらに社内の不満が蓄積しやすくなります。
出てきた問題に個別に対処する、いわゆる「もぐらたたき」をしているだけでは根本的な解決にはなりません。経営者は出てきた問題の奥に潜んでいる「社内の不満」の発生源を見つけ出して、それを元から断っていかなくてはいけません。
「社内の不満」はいろいろな理由で発生します。例えば、
①上司からのパワハラ、②仕事の負担の不公平感、③賃金への不平、④納得いかない人事評価、⑤他の従業員への嫉妬や不信感、⑥人材育成や個別目標の欠如あるいばブレ、⑦営業活動や社内事務の不効率などによるストレス、⑧経営者の従業員の気持ちへの無理解
などが社内の不満を蓄積する要因になります。
経営者はまず、社内の雰囲気をつかみ、従業員の話を聞き、あるいは彼らの行動を観察するなどして、社内に潜んでいる不満を見つけ出さなくてはなりません。そうして、その不満を解消するような方法を、必要であれば「従業員たちと相談しながら」しっかり考えて取り組んでいくことが大切です。また、そもそも「社内の不満」が蓄積されないような取り組みをしていくことも経営者にとっての大切な仕事です。

「3.会社が崩壊する後継者選びをしてしまうワナ」

中小企業にとって「事業承継」は非常に重要な課題です。会社をどうやって後継者にスムーズに引き継ぐかは、会社の存亡にかかわる課題だといっても過言ではありません。残念なことに、この「事業承継」を軽く見たがために大きな痛手を受ける中小企業は少なくありません。場合によっては会社が崩壊する後継者選びをしてしまって、実際に企業が内部崩壊したあげく潰れてしまうこともあるのです。
会社が崩壊する後継者選びとは、どのようなものでしょうか。
例えば社長の息子や親族の子を新社長にしたとします。その人が30代そこそこで雰囲気も頼りなく、言葉にも重みの無いような人であればどうでしょうか。今まで前社長に仕えて来た社内のベテランたちは不満に思うでしょう。
「こんな頼りない新社長では会社が心配だ」、「オレはこれから一生、この若造の何分の一の給料でアゴでこき使われるのか」
などと思って、良く働くベテランたちから先に会社から去ってしまうかもしれません。単に若くて頼りない新社長になっただけで、組織がガタガタになることもあるのです。
それに、若社長は往々にして自分の実力を自覚せずに思い上がりがちです。経営手腕も不十分なのに会社の金を使い込んで大きな穴をあけてしまうかもしれません。
後継者を肩書だけの社長にする、というのも良い方法ではありません。若社長には権力が無く、実際は前社長が何もかも意思決定をしているような会社だと、従業員はどちらに顔を向けて働けばいいかわからなくなり、会社組織が混乱してしまいます。単なる前社長の操り人形だとみなされれば、若社長は尊敬されなくなり、社内で孤立していきます。それに、ぞのような状況だと若社長が恨みを抱き、前社長を憎むようになって、それが社内の内紛や分裂を引き起こすこともあります。
中小企業経営にあたっては「事業承継」で間違いを犯さないことが大切です。間違いを犯さないためには、経営者として「事業承継」について良く学んでおくとともに、後継者を慎重に育成して、社長としてふさわしいと認められるようになってから就任させていくことが大切です。実際に、後継者が社長に就任したとき、ベテラン社員等の不満や会社組織の混乱が起きないように気をつけたいものです。

「4.安易な提案に飛びついてしまうワナ」

中小企業は往々にしてワンマン社長が独裁的に意思決定をします。そのような小さな組織では即断即決の素早い意思決定が期待されますが、一方で偏見や思い込みによって安易な提案に飛びついてしまう危険があります。
口のうまい営業マンにおだてられて社長の機嫌が良くなると、ついその営業マンの安易な提案に飛びついてしまう、そんな中小企業は少なくありません。営業マンの口車に乗せられて安易な提案に飛びついてしまったがために、企業が大きな損害を受けてしまうこともあるのです。
中小企業の経営者は、自分が機嫌よくなるような口のうまい営業マンこそ警戒しなくてはなりません。また、思い込みや好き嫌いなどの偏見でついつい間違った意思決定をしてしまっていないか、自己反省する時間を持つことも大切です。
また、「会社は俺のものだ」という思いが強いと、何でも自分が決めるのが正しいと考えがちです。しかし独裁的に意思決定をすると大きな間違いを犯しやすくなります。例え小さな会社でも、大きな意思決定をするときは必ず会議にかけたり、稟議書をまわしたりするなど、意思決定のためのプロセスをルール決めしておくことが大切です。

「5.変化に反応しなくなってしまうワナ」

世の中は変化します。私たちも変化します。企業は変化する社会情勢の中で生き残り、発展を目指していくためにも、その変化に対応し、場合によっては予測される変化を先取りして経営していかなくてはなりません。中小企業は本来、大企業よりも小回りが効いて速く軌道修正できることが強みです。しかし、経営者が過去の経験に頼りすぎ、考えが固定化してしまうと、変化に反応しなくなってしまうことがあります。経営者が変化に反応しなくなってしまうと、企業は経営危機に陥りやすくなります。
変化に反応しなくなってしまうのは、経営者の考えが固定化しているためです。それは、長年の経験と習慣が経営者の思考と行動を規制してしまっているのです。
外部環境は変化します。昔は当たり前だった商習慣が、法規制が強化されることで違法になることがあります。競争が激しくなることで、昔は営業に行きさえすれば簡単に受注できたのが、よほど他社よりも魅力的な工夫をしないと受注できなくなったりします。人々の行動が変化することで、昔の営業方法が効果を出さなくあることがあります。
内部環境も変化します。経営者も社員も毎年ひとつずつ年を取ります。社員がだんだん高齢化すれば、考えの固定化が進んで動きがにぶくなります。新しい人を入れないと会社は若返りしません。また、新しい考えを学び続けないと、会社は新しい時代についていけなくなります。

「6.中途半端に新規事業に手を出すワナ」

経営の多角化をしたいと考える経営者は少なくありません。新製品を出し、新規事業を立ち上げることで売り上げや利益を増やし、ひいては経営の安定を図ることは企業にとって大きな課題です。しかし、中途半端に新規事業に手を出すのは企業にとってリスクがあります。
中小企業は往々にして中途半端に新規事業に手を出しがちです。中途半端に新規事業に手出しすると、会社が深刻なダメージを受けてしまうかもしれません。
例えば、経営リソースが新規事業に多く使われることによって本業がおろそかになることがあります。新規事業は最初のうちは赤字になりやすいです。でも、立ち上げた新規事業がずっと赤字を垂れ流すようでは危険です。
新規事業のプロジェクトチームのモチベーション低下や、本業で働く従業員たちの不満蓄積がおこると、企業そのものが崩壊してしまうかもしれません。
新規事業に手を出すなら、中途半端ではいけません。必ずいつまでに利益を出すのか目標を決め、目標達成のための具体的計画を立てるべきです。また、事業が軌道に乗らないのであれば素早く軌道修正し、場合によっては早い段階で撤退を決断することも重要です。状況が思わしくないときに素早く撤退判断するためにも、あらかじめ撤退基準を決めておいてから新規事業に参入するのが良いでしょう。

「7.クレームを言う人を引き寄せてしまうワナ」

中小企業は顧客のクレーム、あるいは仕入れ先や社内の不満に対して、どのように対処しているでしょうか。
もしかしたら、クレームをいう人にだけ対応し、クレームを言わない人には対応せずにほったらかしにしていないでしょうか。
もし、クレームを言う人にだけ対応しているのであれば、クレームを言う人が得をして、逆ににクレームを言わない人は損をすることになります。実際、そのような、「クレームを言ってきた人にだけ対応する」という対処のしかたはクレームを言う人に褒美を与え、言わない人に罰を与えているのと同じです。
これはすなわち、会社がクレームを言う人を引き寄せ、言わない人を遠ざけていることになります。会社にはクレームを言う人が集まってきて、言わない人が去っていきます。
「この会社と付き合うなら、クレームを言った方が得だぞ」ということになれば、普段ならクレームを言わないような人でもその会社にはクレームを言う人になります。つまり、結果としてクレームが増えることになります。
中小企業は往々にしてクレーム処理の仕方を間違えます。間違ったクレーム対応をすると、むしろクレームを増やし、クレームを言う人を引き寄せ、クレームを言わない人を遠ざける結果になってしまいます。

「8.過去の経験が思い込みになってしまうワナ」

過去の経験は貴重な教訓です。しかし、過去の経験が思い込みになってしまうと、それは経営判断を間違える材料になってしまいます。
「オレは勘がいい」、「営業とはこうやるものだ」、「俺の言うとおりにすれば問題ない」
経営者がそんな発言をするようになったら、危険信号かもしれません。
いままでうまくいっていたのは往々にして偶然であり運が良かっただけで、自分の勘だけに頼って経営するのは危険です。
営業にはさまざまな方法があり理論があります。地域によって、年代によって、あるいは商品やサービスによっても営業のやり方は違います。長年営業マンとして働いてきた人でも、知らない営業のやりかたがあるものです。それに、時代が変化すれば過去の営業のやり方は通用しなくなります。「営業とはこうやるものだ」と決めつけてしまうと、営業活動が固定化してしまい、だんだんうまくいかなくなっていきます。
経営者が「俺の言うとおりにすれば問題ない」といえば、従業員はその通りにせざるを得なくなります。これは従業員の思考停止を招くとともに、経営者の経験あるいは思い込みの範囲内でしか会社が動かないことになっていきます。

まとめ

以上の「中小企業が陥りやすい8つのワナ」は、とりわけ経営危機に直面している企業が陥っていることが多いです。複数以上のワナに陥るようでは、企業そのものが危うくなります。とりわけ中小企業の経営者はよく注意し、これら8つのワナに陥らないように気をつけなくてはなりません。

中小企業が陥りやすい8つのワナと対策(PDFファイル)


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