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2023年2月の10 日本の労働市場の6つの課題

日本の労働市場にはどのような課題があるのでしょうか。国家においては失業率を減らし、労働者の職業を安定させ、終身雇用(正規雇用)を促進していくことはとても重要です。しかし変化の速い時代では人材の流動化や働き方改革、リスキリングなど、職業の安定や終身雇用とは異なる方向への取り組みも求められています。ここでは、日本の労働市場の6つの課題について見てみましょう。

2023年2月の10 日本の労働市場の6つの課題

市場は取引が行われる場所のことです。労働市場は、求職と求人のマッチングが行われる市場です。求人が多くて求職が少なければ人手不足、求職が多くて求人が少なければ人余りとなります。
需要と供給の調整は賃金の調整で行われるとすれば、人手不足では賃金が上昇し、人余りでは賃金が下がるはずです。しかし、必ずしも単純にそうなるとは限りません。人手不足でも、業界や職種によって雇用者が払うことのできる賃金にはある程度上限があり、また横並び志向もあってなかなか賃金が上がらない場合もあります。逆に人余りでも、定められた最低賃金を下回る額で求人するのは違法ですし、労働者も賃金が安すぎればなかなか働こうとしなかったりします。
ここでは、日本の労働市場の6つの課題について見てみましょう。

①「労働市場において自分の価値・賃金を高める方法」を労働者が学ぶ機会が少ない

日本は「終身雇用」と「年功序列」が長年雇用形態の中心となっていて、一度就職すれば定年退職まで同じ会社で働き続けるのが「普通のこと」とされてきました。そのため、「労働市場において自分を高く売り込む」ことに慣れた労働者が少ないといわれています。転職などでも自分を高く売り込んでいく方法を学ぶ機会はあまりありません。「自分を高く売り込む」ことに慣れていないと、人材の流動化が進んだときにかえって日本人の賃金は下がりやすくなってしまうおそれがあります。
日本の労働市場を活性化していくためにも、「労働市場において自分の価値・賃金を高める方法」を労働者が学ぶ機会を増やしていくことが重要と思われます。場合によっては学生のうちから「自分を高く売り込む」スキルを学んでいった方がいいかもしれません。

②「正規雇用」と「非正規雇用」の賃金格差が大きい

「非正規雇用」の拡大が日本の賃金が上がらない大きな原因の一つといわれています。実際、「正規雇用」労働者と「非正規雇用」労働者の賃金格差は日本の大きな課題です。同一労働同一賃金が導入され、正規雇用と非正規雇用の不合理な待遇差の解消が求められていますので、今後はその着実な実施が求められてくるでしょう。同一労働同一賃金への対応に後ろ向きな企業へのペナルティー強化も必要かもしれません。

③ 副業・兼業を活性化するための課題

働き方改革の一環として、副業・兼業の活性化が注目されています。実際、副業・兼業が活性化することは労働者にとっては副収入やスキルが活用できる、会社以外の人脈が広がり刺激になるなどの効果があり、企業にとっては人材不足の解消や業務の効率化などのメリットがあります。ただ副業・兼業の活性化には課題もあります。例えば、副業・兼業で忙しくなると仕事のトラブル発生時にパニックになって対応できなくなるおそれがあること、会社内外での切り替えができなくなり集中力が低下するおそれがあること、本業がおろそかになるおそれがあること、会社の機密情報が漏えいしやすくなることなどが心配されます。また、サービス残業などが多く副業が困難な企業と、自由に副業ができる企業とでは、労働者の待遇格差が拡大しやすくなります。副業をやりやすい企業がどうかも、今後は就職する際に企業を選ぶうえでの重要な要素となるかもしれません。
インターネットなどで「簡単な副業」などといって、犯罪行為の手伝いを募集する組織もあるといわれています。怪しい副業に手を出し、知らず知らずのうちに犯罪に加担してしまうサラリーマンも増えてくるおそれがあります。
副業・兼業に関しては労働者への適切な情報提供やトラブル予防のための教育・啓発なども必要でしょう。

④ 「組織の掟」が強く、「個人の能力」が活かしにくい

日本は従来より、「組織の掟」が強く、「個人の能力」が活かしにくい社会だといわれていました。組織の掟が強い社会では、会社を辞めるのは「裏切り行為」であり、会社を辞めてしまう人間は落伍者扱いにされたりします。落伍者扱いはされたくないので、たとえ理不尽な思いをしても会社にしがみつくしかない、そんな社会では人材の流動化が起こりにくく、またブラック企業がはびこりやすくなります。
変化の激しい時代に、日本も人材の流動化を進めなくてはならないといわれていますが、人材の流動化を進めるためには、まずは「組織の掟」が強く、「個人の能力」が活かしにくい風土を変えていく必要があるでしょう

⑤ 「他人の成功」を許さない妬みの文化

「他人の成功」を許さない妬みの文化があると、転職によってステップアップした人や副業で成功した人が攻撃対象になることがあります。転職するやつの人生なんか転落していけ。副業するやつなんか失敗しろ。人々がそんなことばかり考える社会では、転職市場も副業ビジネスも盛り上がりません。転職も副業も盛り上がり、労働市場全体が活性化していくためにも、「他人の成功」を許さない妬みの文化は変わっていく必要があるのではないでしょうか。

⑥ 「外国人労働者」の課題

少子化や人手不足で国内の労働力が足りない状況では、外国人労働者の存在はますます重要になってきます。ただし、外国人労働者を雇う場合、言葉とコミュニケーションの課題、差別待遇や賃金格差の課題、キャリアやスキルとのミスマッチの課題など、様々な課題があります。また、外国人技能実習生に関する課題なども、「外国人労働者」の課題のひとつとして考えたほうがいいでしょう。「外国人労働者」の課題は日本の将来を左右しかねない大きな課題です。


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