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2023年3月の5 雇用調整助成金は人材の流動化を阻む

日本の雇用調整助成金による雇用維持政策は人材の流動化を阻み、日本の構造改革の妨げになっているといわれます。事業縮小した企業、あるいは衰退産業の企業に労働者が雇われ続けることで、日本の生産性が低下しやすくなります。一方で、成長産業に人が集まらず、日本が経済成長するチャンスを逃す原因にもなっていると指摘されています。日本人の賃金が低く抑えられているのも、雇用調整助成金が原因の一つになっているといわれています。

2023年3月の5 雇用調整助成金は人材の流動化を阻む

雇用調整助成金とは、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に対して、従業員の雇用維持を図るために一定条件下で休業などの雇用調整を実施する場合に、休業手当などの一部を助成することをいいます。
雇用調整助成金の目的は雇用を維持すること、労働者の失業を防止することにあります。事業縮小時に労働者の「解雇」ではなく「休業などの雇用調整」を選んでもらうために、事業主に助成金を支払います。そうすることで、日本の失業率を低く抑えようとするのが雇用調整助成金の制度です。
休業期間中は労働者は働かず、休業手当をもらいます。休業手当は通常の賃金よりも安い場合が多いです。ですので、不景気時に雇用調整助成金の適用が増えると、労働者の収入は減ります。労働者は失業こそしていないものの仕事が減り、収入も減っているので、労働意欲が低下しやすくなります。
日本人の賃金が低く抑えられているのも、雇用調整助成金が原因の一つになっているといわれています。
賃金が上昇しやすいのは成長している企業です。成長していない企業、あるいは衰退している企業ではなかなか賃金は上がりません。
成長していない企業に労働者が雇われ続けていると、そのぶん労働市場に求職者が増えてきません。求職者が増えてこなければ成長している企業が求人を出してもなかなか人が集まってこないことになります。
成長企業を活性化しないと賃金は上がらないのに、雇用調整助成金によって労働者が成長しない企業に雇われ続け、成長する企業に労働者が集まらず、活性化を阻害しているのです。
変化の速い時代では、労働者が転職に積極的になり、労働市場が活性化するような環境づくりが必要です。もしかしたら、「会社に一生しがみつくのが正しい」という考え方が日本を衰退させているのかもしれません。
人材の流動化が必要な時代では、雇用調整助成金による雇用維持政策は日本の経済を停滞あるいは衰退させ、労働者を不幸にしているのかもしれません。


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