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韓非子と法治国家

韓非子の思想について調査、紹介しています。組織の法をただし、秩序をつけることは組織繁栄の要です。組織が腐敗、衰退しないためにも韓非子からの警告に耳を傾け法を正しましょう。

組織を潰さないために必要なこと

人は組織をつくる生き物です。人というものは単独で行動するよりも組織で行動した方がチカラを発揮しやすいといわれます。また、人は生きていく上で何らかの組織に入っていることが必要だと言われています。組織には小さなものから巨大なものまであります。たとえば、家族、学校、地域社会、会社、あるいは国家が組織にあたります。
組織を構成する人たちがめいめい好き勝手なことをしていると、組織はあっという間にバラバラになってしまいます。家族でも、学校でも、会社でも、あるいは国家でも、組織がしっかりとまとまってその機能を存分に発揮するためには、秩序が必要です。
組織内の争いをおさめてバラバラにしないよう、また組織が存分にその機能を発揮するように、組織に秩序を与えるべくつくられるもの、それが法です。
法をつくり、人々が法に従うことで、組織に秩序が生まれます。組織の中で人々の動きが規制されます。人々は欲にまかせて好き勝手に動くことはできなくなりますが、そのぶん組織がバラバラにならず効果的に機能するようになります。法によって支配者の個人的弱点を補うことができます。法があることで愛情に流され、好き嫌いの感情に左右されることもなくなります。
法をどのようにつくるかによって、組織の運命は大きく変わります。
法は単純明快で理解しやすく、厳しくて公正なものでなくてはなりません。
そして法を扱う支配者は、ことさらなことをせず、人々に好き嫌いを悟られないよう、厳しく法を執行します。そうすることで組織の規律を正し、国家を繁栄させることができるのです。
法をなおざりにしていると、組織内の秩序は乱れ、人々はバラバラになります。最後には組織とそこに属する人たち全てが滅んでしまうかもしれません。
韓非子は中国戦国時代において、国々の興亡を学び、それに基づいて法のあり方を説きました。
祖国が腐敗し、バラバラになろうとしているのを憂い、祖国を想うがあまりに書かれた韓非子の思想は、現代のわれわれにも組織と法のあり方を考えさせてくれます。
このサイトでは韓非子の書をピックアップし、その法家思想について紹介しています。
国家に限らず、あらゆる組織を腐敗・衰退させないためにも、私たちも謙虚な気持ちで韓非子の言葉に耳を傾けようではありませんか。 このサイトが組織と法による秩序について考えるヒントとなれば幸いです。

韓非子と法治国家

人間観

法無きは争いのもと
人は多かれ少なかれ社会に帰属し、社会の中で生活しています。ひとりでは食べ物や住居を確保するのも大変です。厳しい自然環境の中で生きていくためには社会をつくり、お互いに支え合うことが大切です。
権力と人間の欲望
社会組織が正常に機能するためには、法をうちたて、秩序を乱す人を取り締まる必要があります。人が集まると秩序を乱す人が現れるものです。秩序を乱す人を取り締まるためには、組織としての権力が必要です。
個人的弱点を補うもの
組織は人の集まりです。人にはそれぞれ、個人的な弱点があります。しかし組織になれば、その弱点を見えないようにして、強みを活かしていくことができます。人々がお互いに助け合うことで組織はそのチカラを発揮します。
愛情ではなく法
組織のリーダーは、組織内の人々を治めていかなくてはなりません。人々をおさめるのは、法によって行います。リーダーによる仁徳の心や、愛情だけで組織内の人々を納めていこうとすれば、そこにはさまざまな問題が発生します。
好き嫌いの感情
人間には好き嫌いの感情があります。人や物事に対して好きになったり、嫌いになったりするのは人間の心にはつきものです。しかし、社会組織を構成する人々が好き勝手に自分の感情に任せて動いていたら、おおきな問題になります。

統治の法

法は単純明快であるべし
法は組織を正常に機能させ、強化させるものです。そのためには法は単純で明快でなくてはなりません。単純・明快でなければ人々には理解されません。読んでわからない法は守ることができません。
賞罰を公正に実施すべし
法が立てられていても、その法に基づいて賞罰が行われなければその法は効力を持ちません。法に従っても賞が得られず、法に従わなくても罰を受けないのであれば、人々は法を無視するようになるでしょう。
人々の行動パターンを利用する
法を立てることは、人々の動きを規制するだけでなく、人々に行動を促すという目的もあります。社会組織の中で人々が自分勝手にふるまうのを防ぐのも大切ですが、国のために仕事に精を出すよう仕向けることも同じく大切なことです。
厳しい法を断行すべし
「良薬は口に苦し」といいます。良い法は人々に厳しく、それゆえ法をうちたてるのに反対する人たちもたくさんいます。多くの人々は、目先自分が苦しみたくないばかりに、楽な方法を選びたがるのです。
占い・弁論に頼らず法に頼る
国家を運営するには、占いや弁論に頼るのではなく法に頼るべきです。そもそも政治で占いを頼りにするというのは論外ですし、弁論も時代の雰囲気や人々の思惑によって変化するものですから頼りにはなりません。

法を補う術

弁士をしりぞけるべし
弁士とは弁の立つ者、弁論によって人を言い負かし、利益を得ようとする者のことを言います。弁士は様々なことにいちゃもんをつけ、人々を混乱に陥れるからです。弁士の存在は、法による秩序を乱します。
好き嫌いを悟られない
国政に携わる者は自分自身の好き嫌いの感情を人々に悟られないようにしなくてはいけません。好き嫌いの感情が人々に知られると、周囲の人々があの手この手でそこにつけ入ろうとし、ついには国政が危うくなります。
人の情報はうのみにしない
政治は情報が命です。常にアンテナを張り巡らし、的確な情報を入手する体制を整えておくことが健全な国家運営には欠かせません。しかし、入ってくる情報がすべて信頼できるというわけではありません。
権力はあけわたさない
組織は法がしっかりしていてこそ正常に機能します。法がしっかりしているとは単純明快な法がうちたてられ、その法に基づいて正しく賞罰が行われていることです。正しく賞罰を行うためには権力が必要です。
自分からは動かない
先手必勝という言葉があります。相手が準備していないところで先手を打ち、一気に攻めて勝ち取るという戦法です。しかし、国家戦略においては、むしろ先に動くと戦いに敗れることが多いようです。
情に任せて法を曲げない
人間、情が入るとついつい法を曲げたくなります。盗みを働いてもその人がかわいそうな身の上だと聞くと、罪を許してやりたくなります。逆に、被害者に同情したい要素が多いと重い罪にしたくなります。
外国に頼らない
国の安全を外国に頼るというのは、危険この上ない考えかたです。外国が自分たちをいつまでも守ってくれるという保証はどこにもありません。それに、守ってもらうためにその国の言いなりになってしまいます。

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