国家繁栄論>国家の危機管理
危機管理は国家の重要課題です。国家を陥れる危機を予測し、把握し、管理していくことは国民が安心して生活するためにも必要不可欠です。直接的でわかりやすい危機としては外国の軍事的脅威や災害、疫病、犯罪、国内での暴動などが考えられますが、危機はそれだけではありません。政府や国民の怠惰や悪習も、ゆっくりながらじわじわと国家を破たんの方向へと導いていく見えにくい危機です。
外国の軍事的脅威は国家にとって大きな懸念材料です。外国が攻めてくれば、国家にとっては大きな危機です。国家は外国に対抗できるよう防衛力を備えるとともに、外国が攻めて来ないよう外交戦術を駆使しなくてはなりません。そのためにも大前提として、周辺国がどのくらいの軍事力を保有し、それが国家にとってどれくらいの脅威となりうるかを把握しておかなくてはなりません。同時に、他国の外交戦術を読み、その上手を行く外交を駆使していく必要があります。軍事は単なる力比べではありません。単に軍事力を肥大化させるだけで国家の安全が保たれるわけではないのです。そこには緻密かつ大局的な戦略と実践力が求められます。
災害は国民に大きな損害をもたらすことがあります。いつやってくるかわからない災害に対し、国家は常に備えをしておかなくてはなりません。同時に、災害発生時には迅速かつ臨機応変な対応を取ることができるよう、国家は動きの良い組織をつくっておく必要があります。
疫病が蔓延すると国民は不安になり、健康状態が損なわれ、場合によっては多くの国民が死亡します。医療施設がひっ迫し、国民生活に支障を来すおそれもあります。国家は普段から疫病の予防に努め、また疫病発生時にその拡散を防止するとともに医療体制や国民の生活を守っていかなくてはなりません。
普段からの疫病予防としては、物や人が移動する際の検疫制度の確立や、国民が清潔に生活できる環境づくり、また国民に手洗いや入浴習慣など清潔で健康的な生活習慣を心がけるよう教育することなどが考えられます。また疫病発生時には迅速に人や物の移動を制限するほか、医療体制や国民生活への柔軟なサポートも必要になってきます。
犯罪の横行は国家の治安を悪化させ、ばあいによってはじわじわと国家を危機に陥れます。国家は法律を整備し、犯罪を取り締まるとともに、国民、あるいは国内にいる外国人が犯罪をしないような環境をつくっていくことが大切です。
国内での暴動が頻発すると国家はあやうくなります。暴動は重税や失業率の増加、食糧不足などによる国民の不満の増加、政治家の不祥事などによる国家への政治不信、あるいは危険思想を持った集団による国家転覆計画などによって発生することがあります。いずれも国家を危機に陥れる危険なことであり、国家はその直接的な対策のみでなく、暴動による危機が発生する原因を無くしていくような予防策が必要です。
怠惰は国家を危機に陥れます。為政者や官僚の怠惰、公務員の怠惰、国民の怠惰など、さまざまな場所で発生する怠惰が国家を停滞させ、場合によっては機能不全に導くことがあります。怠惰は無理に見える目標ややりたいと思わない目的、やりがいを感じない仕事に対しての意欲の不足、過度のストレスや疲労、繁雑で無意味に思える手続き作業に対する嫌悪感、失敗したことに対するトラウマ・恐怖感、それから睡眠不足や栄養の偏り、運動不足など健康上の理由から発生することがあるといわれています。公務員の仕事のしかたを「お役所仕事」と呼んで、悪い仕事のやりかたの一例として取り上げられることがあります。国家として繁栄していくためにも、公務員の仕事も重要な「見直すべき課題」のひとつといっていいでしょう。
国家に蔓延するさまざまな悪習は、国家繁栄の妨げになります。国家は悪習をなくしていくとともに、悪習が発生する原因を無くしていく工夫をしていかなくてはなりません。
国家の繁栄の妨げとなる悪習としては、1政治の腐敗、2官僚の腐敗、3企業の腐敗、4平和ボケ、5組織の「隠ぺい」体質、6過去が良かったと思う幻想、7足の引っ張り合いなどが考えられます。また、過去に滅亡した国家が抱えていた悪習を調べ、彼らと同じような運命をたどらないようにすることも大切です。歴史に学ぶのは、過去の失敗を繰り返さないためです。
危機管理のために最も重要なこと、それはより良い未来をつくるための教育、強いリーダーシップ、リスク管理をするためのシステムづくりの3つです。国家を危機から守るためにも、これらはなおざりにしてはならないものです。
国家は人で成り立ちます。国家を構成するのはその国家に所属する国民です。国家が繁栄するとは、その国民が富むことです。国民が豊かにならずして国家の繁栄は成り立ちません。多くの国民が富むためにも、企業活動を活発にし、経済を発展させていく必要があります。そのためには、人や企業が活き活きと活動できるような環境づくりが必要です。
国家は国民が帰るべき家として、安心して生活できる場所でなくてはなりません。そこには生活の基礎となる居場所や仕事とともに、仲間がいて、力を伸ばすための競争があって、心豊かになる文化があって、いつでも学べる教育システムがあると良いでしょう。国家は国民がより豊かになるためのチャンスを提供し続けることが必要です。国民がここで一生を過ごしたいと思うような場所であり続けることが、国家の存在理由です。
国家は国体を尊重しなくてはなりません。国体が汚され、あるいは国体そのものが失われてしまうようでは、国家が落ちぶれるどころか、国家としての存在理由すら失ってしまいかねません。国家は国体を永続的に尊重すべきであり、決してなおざりにしてはなりません。国家は国体によって成り立ち、国体は国民に支持されることによって成り立つのです。
危機管理は国家の重要課題です。国家を陥れる危機を予測し、把握し、管理していくことは国民が安心して生活するためにも必要不可欠です。直接的でわかりやすい危機としては外国の軍事的脅威や災害、疫病、犯罪、国内での暴動などが考えられますが、危機はそれだけではありません。政府や国民の怠惰や悪習も、ゆっくりながらじわじわと国家を破たんの方向へと導いていく見えにくい危機です。
国家はインテリジェンスを駆使して自らの存続、発展をはかっていかなくてはなりません。知識や情報を上手く国家の存続や発展に寄与させていくためには、インテリジェンスとその積極的活用が不可欠です。国家を繁栄させるためにも、国民がインテリジェンスとその活用をしっかり学ぶことが求められます。
国家の繁栄のためには教育は欠かせません。国家がどのように教育をしていくかによって、国家の運命は大きく変わります。繁栄する国家は教育にしっかり力を入れています。教育は時代と共に発達させていかなくてはなりません。偏った時代遅れな教育を続ける国家はだんだん衰退していきます。どのような教育にしていくかは国家の繁栄を左右する重要課題です。
国家が繁栄するためには、なによりも国家自身が健康であることが大切です。国家が病気を抱え、元気を失っている状態では、繁栄どころか、存続すら危うくなります。健康を維持するためには、国家を蝕む病気を治療・予防するとともに、つねに健康状態を保つための習慣づけをする必要があります。国家の健康は、国民の安全と健康のためにも重要です。
国家が繁栄するためには、産業の発達が欠かせません。産業が発達すれば、雇用が増え、人々の収入が増えることが期待できます。収入が増えて人々が豊かになれば、自然と税収も増え、国家予算を増やすこともできます。うまく産業を発達させるには、国家として何をどうするべきでしょうか。産業発達のための環境づくりをすることが、国家を繁栄させるには重要です。
軍事は国家の重大事です。軍事をおろそかにする国家は滅亡します。国民や国家の資産を外国の脅威などから守るためにも、国家はしっかりと軍事力をつけておかなくてはなりません。しかし、軍事費を膨張させすぎると国家にとっては大きな負担になります。国家を繁栄させるために軍事をどうしていくべきか、国民はしっかり考えていかなくてはなりません。
国家は国民が安心して暮らせるよう、福祉と防災に努めなくてはなりません。福祉として国家がやれることはたくさんあります。また災害はいつどのような規模でやってくるかわかりませんから、常に備えておかなくてはなりません。しかしながら、福祉や防災が国家の財政を圧迫し、国家の運営を危うくするようではいけません。
国家を運営するには国費がかかります。国費は基本的には国民から強制的に徴収する「税」によって賄われます。税をどこからどのようにどのくらい徴収するかによって国家の運営は大きく変わってきます。租税のありかたによって市場経済や国民の生活、国家の防衛力、貧富の格差、不正や治安、国民の教育レベルなどが影響をうけます。国家は中・長期にわたって国家が繁栄するような租税のありかたを見つけ、採用していかなくてはなりません。
国家が繁栄しているかどうかは結局のところ、その国民がどのような生活をしているかによって決まるといっていいかもしれません。多くの国民が苦しく、みじめな生活をしているのでは、その国は繁栄しているとは言えないでしょう。国家の繁栄にはなによりも、国民生活の全体的な向上が必要です。国民の生活が良くならなくて国家の繁栄はありません。
国家はいやおうなく国際政治に巻き込まれます。国家は自国の主権と国民を守りつつ、国際政治の中で生き抜いていかなくてはなりません。さらに、国家が繁栄していくためには、国際政治に振り回されないよう自国の政治体制を強化するとともに、国際政治での存在感や発言力を強めていくことが求められます。世界各国も思惑が交錯する国際政治の中で国家繁栄を目指すには、長期的なプランと地道な発展努力が求められます。
国家はその存続のために戦争をしなくてはならないときがあります。戦争は、国力を著しく消費し多大な被害をもたらします。それでも、戦争に勝利すれば国家としての強さを示すことができます。しかし場合によっては国家がきわめて弱くなり、国家そのものが滅亡してしまうこともあります。戦争を選ぶのも、戦争を回避するのも、国家にとってはリスクがあります。戦争は短絡的に考えてはならない極めて重大な問題です。
経済のグローバル化は進んでおり、国内の動向だけを見ているようでは国内経済はうまく発展しません。世界の経済動向を見たうえで、その中で国家経済の発展を目指していく必要があります。いまやどこにいてもグローバル経済の影響を避けられず、国家の繁栄のためにも世界の中での競争力向上に取り組むことが求められます。
国家は、国民たちがそこにいて幸せを感じるような場所であることが好ましいでしょう。国民の大多数がより幸せになるような政策を追求していくことが国家には求められます。国家が繁栄するためにも、国民が豊かになるとともに、幸福感が増していくことが望まれます。まずは、国民が幸せになるにはどうすればいいか、しっかり考えていきましょう。
国家は歴史をつくります。せっかく歴史をつくったからには、それを国家の繁栄のために活用していきたいものです。国家の歴史を読むことによって、国民が勤勉になり、過ちを犯さず、国家のさらなる繁栄のために尽くそうと思うのなら、そんな好ましいことはありません。歴史をつくっていく際には、後世にその歴史を読んだ人がより良い国家づくりを目指そうとおもうような歴史にしていきたいものです。
国家はその活動によって様々な遺産を遺します。国家が残す遺産を見て、後世の人々はその国家を評価することでしょう。どのような遺産を遺すかが、その国家の将来的価値を決めるといっても過言ではありません。国家が活動をするときは、それが将来にどんな遺産として残り、それが後世にどう評価されうるのか、意識しておいた方がいいかもしれません。