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持続可能な開発目標(SDGs)と企業の行動方針について

持続可能な開発目標(SDGs)と企業の行動方針について>10「人や国の不平等をなくそう」

10「人や国の不平等をなくそう」

SDGsの10番目は「人や国の不平等をなくそう」です。目標は「各国内及び各国間の不平等を是正する」としています。不平等とは差別があること、扱いや待遇に差をつけられていることをいいます。国内外で飢餓や貧困、あるいは大きな格差が発生しているところには、往々にして不当な不平等があります。不平等は、貧困や飢餓、教育格差、ひいては所得格差の拡大をもたらします。不平等をなくしていくことで多くの人々が受けている不幸をなくしていこうというのがここでの目標です。

10「人や国の不平等をなくそう」

不平等や差別は人々の不幸の大きな原因のひとつとされています。不平等や差別は往々にして人々の心に不満や妬み、恨み、憎悪をもたらします。不満や妬み、恨み、憎悪が激しくなれば、社会は分断され、対立は深まり、紛争が頻発し、ついには戦争に発展することもあります。
不平等や差別があっても分断や紛争は発生せず、外見上は安定している社会もあります。強大な軍事力などにより厳しく秩序が保たれ、徹底的に監視され、あるいは強い信仰が根付いている社会では、人々は文句も言えず不平等や差別を受け入れなくてはなりません。でもそんな社会の中では人々は幸せとは言えないことでしょう。不平等や差別をなくそうという運動が起こる社会は、もともと言論の自由や信仰の自由がある程度認められ、人々が不平等や差別に対して文句が言える社会に限られます。
言論の自由や信仰の自由が広く認められる社会でも、人々の心に不満がある限り不平等や差別の問題は無くなりません。逆に、言論の自由があるがゆえに不平等や差別の問題が大きく騒がれるようになり、対立や分断の原因となることもあります。
人間の完全な平等は実現できるのでしょうか。完全なる平等を実現しようとすることは、かえって問題を増加させることにならないでしょうか。
各国間の不平等はどうでしょうか。それぞれの国家に歴史があり、国家間の関係は複雑に絡み合っています。不当な不均衡は是正すべきでしょう。でも、何を、どのように是正すべきなのでしょうか。
「人や国の不平等をなくそう」も正解のある目標とはいえないかもしれません。でも、だからこそ不平等や差別を見つけ、それを無くそうとする取り組みをしていくことには重要な意味があります。
企業においては、活動していくうえで社内における人の不平等を無くしていくとともに、活動地域や海外進出先での不平等是正に協力あるいは支援していくことが大切になってくると思われます。
なお、国連は「人や国の不平等をなくそう」に関して10項目の具体的なターゲットを設定しています。実際に「人や国の不平等をなくそう」の目標を実現していくためにも、これらのターゲットについても見て、考えていきましょう。


10.1 2030 年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。


これは低所得層の所得成長率を平均よりも高い割合にすることにより、所得格差の是正をはかろうというものです。
企業であれば、例えば低収入の従業員の昇給を高めに、管理職や役員など高収入の人たちの昇給を低めに設定するなどして、企業内での所得格差を小さくしていくなどの方法があるかもしれません。ただ、給与に関しては会社全体の業績とともに社員の貢献度などが関係してくるので、社員の不満を増大させないためにも慎重に決めなくてはなりません。

10.1 行動方針案
・「給与体系や昇給率を決定するにあたり、会社全体の業績や社員の貢献度に加え、所得格差の是正を考慮していく」

10.2 2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。


これは多様性を受け入れ、さまざまな人々の能力を強化し、彼らを包み込んで存続できる社会の実現をめざしたものと思われます。
企業においては社内外における多様性への配慮をしていくとともに、多様性を受け入れる社会実現のための支援活動をしていくことが好ましいでしょう。

10.2 行動方針案
・「社内外における多様性への配慮をしていくとともに、多様性を受け入れる社会実現のための支援活動をしていく」

10.3 差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。


ここでは差別的な法律、政策及び慣行の撤廃などにより機会均等と結果の不平等の是正について書かれています。
企業としては、社内において差別的な慣行などをなくしていき、従業員の機会均等とともに、皆が協力し合って成果を出せる仕組みづくりをしていくことが望まれます。

10.3 行動方針案
・「社内において差別的な慣行などをなくしていき、従業員の機会均等とともに、皆が協力し合って成果を出せる仕組みづくりをしていく」

10.4 財政、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。


財政、賃金、社会保障政策などにより、格差をなくし平等を拡大しようというターゲットです。
企業としては、格差をなくし平等を拡大していくような賃金体系づくりに取り組むことがここでの目標となるかもしれません。

10.4 行動方針案
・「格差をなくし平等を拡大していくような賃金体系づくりに取り組む」

10.5 世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。


ここでは金融へのモニタリングと規制強化について書かれています。
企業としては、金融に関連して法律や規制を順守するとともに、たとえ法令に違反しなくてもリスクの高い取引の自制をすることが求められます。

10.5 行動方針案
・「金融に関連して法律や規制を順守するとともに、たとえ法令に違反しなくてもリスクの高い取引の自制をする」

10.6 地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。


ここでは開発途上国の影響力拡大による、グローバルな国際経済金融機関の改良を目指したものです。
企業としては、ビジネス展開をするにあたって開発途上国出身の従業員の発言力拡大により、発展途上国視点に基づく意思決定を取り入れていくことも面白いかもしれません。

10.6 行動方針案
・「企業経営において発展途上国視点に基づく意思決定を取り入ていくことを検討する」

10.7 計画に基づき良く管理された移民政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。


ここでは人々の移住や移動の促進について書かれています。
企業としては、移民を従業員として受け入れる場合の体制づくりをするなどが一つの貢献案として挙げられます。

10.7 行動方針案
・「移民を従業員として受け入れる場合、よりスムーズに言語を習得し、職場になじみ、スキルアップしていくための支援体制づくりをする」

10.a 世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。


これはWTO協定に従う途上国への優遇について書かれています。
企業としては、貿易ビジネスなどに携わる際に、途上国の発展に寄与していくことがSDGsへの貢献につながっていくと思われます。

10.a 行動方針案
・「貿易ビジネスなどに携わる際に、途上国の発展に寄与する活動を計画し実践していく」

10.b 各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。


ここではODAなどの資金が必要性が最も高い国々に送られるようにしていくことが書かれています。
企業としては特に途上国などでビジネスを展開する際に、政府のODA状況などを注視しつつ事業計画をしていくことが大切になるでしょう。

10.b 行動方針案
・「特に途上国などでビジネスを展開する際に、政府のODA状況などを注視しつつ事業計画をしていく」

10.c 2030 年までに、移住労働者による送金コストを3%未満に引き下げ、コストが5%を越える送金経路を撤廃する。


これは移住労働者あるいは海外への出稼ぎ労働者が、母国で生活する親戚などへの仕送り送金する際の手数料負担を軽減しようとするものと考えられます。
企業としては移民労働者あるいは海外からの出稼ぎ労働者を雇い入れた際に、手数料の安い仕送り送金方法などを調べて情報提供するなどの支援があるかもしれません。

10.c 行動方針案
・「移民労働者あるいは海外からの出稼ぎ労働者を雇い入れた際に、彼らの仕送り送金の負担を軽減するための支援をしていく」

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