原子炉は安定的継続的に核反応をおこさせるための設備です。核分裂エネルギーは、爆発的なエネルギーとともに大量の放射性物質を発生します。原子力発電では原子炉にて核反応を制御し熱エネルギーを利用して発電します。
原子炉には発電用、軍事用、研究用の目的によって、さまざまな種類のものがあります。その中で、原子力発電の多くは「軽水炉」と呼ばれる原子炉を用いています。
軽水炉というのは、核分裂反応をひきおこす媒介役となる中性子の速度(エネルギー)を減速するのに軽水を用いる原子炉のことです。軽水というのは精製された一般の水のことをいいます。
軽水炉は、減速材が安価(水だから)、比較的コンパクトに建設可能(建設コストが低い)、燃料が軍事用に利用されにくいなどの特長があります。一方で熱効率が低い、作業員の被ばくを伴う作業が多くなる、放射性廃棄物が多い、運転出力を変えにくい、といった課題が指摘されています。
軽水炉にはさらに、大きくBWR(沸騰水炉)とPWR(加圧水炉)の種類があり、日本国内ではBWR、PWRともに建設され商用運転されているようです。
BWRは原子炉の中で水を加熱・蒸発させて蒸気をつくり、その蒸気を炉の外まで送ってタービンをまわしています。蒸気は復水器で冷却されて水に戻り、さらにポンプで原子炉の中に戻されていきます。
原子炉としては比較的単純な構造で、原子力発電の初期から広く用いられてきました。
ただし、タービン、復水器まで原子炉内の水が流れるので、放射性廃棄物が増えやすいとされています。また、作業者の被ばく量も多くなるようです。
一方、PWRの場合は加圧した1次サイクル系の水を原子炉で加熱し、これを蒸気発生器(熱交換器)において2次サイクル系の水を蒸発させてタービンをまわします。
原子炉内にある1次サイクル系の水はタービンのところまで来ないので、BWRよりも放射性廃棄物の発生や作業者の被ばく量に対して有利だといわれています。
しかし、配管が複雑になり、保守点検などで作業者により大きな負担がかかると言われています。また、熱交換器を介すことによりロスが発生し、BWRよりも発電効率は低くなります。
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核分裂エネルギー
原子力とは基本的には核反応によって発生するエネルギーを言います。核反応は主に核分裂と核融合があります。現在商用で運転されている原子力発電はウラン・プルトニウムの核分裂エネルギーを利用しています。
原子炉
原子炉は安定的継続的に核反応をおこさせるための設備です。核分裂エネルギーは、爆発的なエネルギーとともに大量の放射性物質を発生します。原子力発電では原子炉にて核反応を制御し熱エネルギーを利用して発電します。
発電プラント
発電プラントは発電機によって電力を発生させます。発電機を動かすためには、動力が必要です。原子力発電プラントの場合は通常、核反応エネルギーによって加熱した水蒸気をつくり、これによってタービンを回します。
放射性廃棄物
原子力発電所を運転すると放射性廃棄物が発生します。放射性廃棄物というのは、放射性物質が含まれる廃棄物です。放射性廃棄物の処理は危険性や環境への影響が懸念され、原子力発電の大きな課題になっています。
原発作業者とその健康
原子力発電所の運転を支えているのは、そこで働くひとりひとりの作業者たちです。作業者たちは場合によっては線量の高い地域で危険と隣り合わせの作業をしなくてはならず、その健康管理が大きな問題となっています。
安全設計と品質管理
核分裂エネルギーは爆発的に大きく、核反応は放射能を伴う危険なものです。ですから、原子力発電は何重にも安全設計が施され、万全の品質管理をもって決して事故や不具合が起きないようにしなくてはなりません。
事故発生時の対応
原子力発電所で事故が発生すれば、広範囲の人々に大きな影響を及ぼします。事故発生時の対応いかんによっては多くの人々の生命や健康を害し、地域・海洋の汚染を引き起こし、国際社会から批判されることになります。
原子力発電所の廃炉
原子力発電所も長期間運転を続けると、だんだん老朽化してきます。古くなった原子力発電所はいずれは運転をとりやめ、廃炉にしなくてはなりません。この「廃炉」についても原子力は大きな課題を抱えています。
これからの原子力発電
様々な課題を抱える原子力発電ですが、今後どのようになっていくのでしょうか。原子力発電はこれからどうあるべきなのでしょうか。ここでは、原子力発電のこれからについて見ていきましょう。
原子力発電はなくすべきか
原子力発電はなくすべきだとする意見があります。原子力発電は危険であり、事故や放射性廃棄物など将来への不安を残すことから、決してエネルギー源として有望ではなく、今後廃止していくべきだというのです。
エネルギー政策の将来
エネルギー政策は今後、どのようになっていくのでしょうか。私たちは今後、エネルギーの利用に対してどのように考えていくべきでしょうか。ここではエネルギー政策の将来について少し考えてみましょう。