ヘイトは憎しみのこと、スピーチは演説のことです。ヘイトスピーチとは一般に、わが国に適法に居住する特定の外国出身者、特定の民族や国籍の人々を排除しようとする不当な差別的言動をいいます。ヘイトスピーチをする演説者は、攻撃対象である特定の外国出身者などを排斥するため、人々を扇動しようとしているのです。
憎しみと扇動は、時として社会を大きく動かします。差別の横行や社会の亀裂は、誰かを憎み、排斥しようとする扇動的活動から始まることが少なくありません。暴動や内戦、革命、そして戦争などは、差別の横行や社会の亀裂から生じやすくなります。世界がより平和に、人々がより幸せになるよう社会が変化していけば良いのですが、ヘイトスピーチによる扇動はむしろ悪い方向に社会を動かしていくように見えます。
人は誰か悪者をつくりたがります。重税や物価高で私たちの生活が苦しいのはあいつらのせいだ。治安が悪くて安心して生活できないのは奴らの責任だ。そんなふうに、自分たちの何か上手くいかないことについて、「悪者」のせいにしていれば気が楽になります。
場合によっては、政治家や権力者たちが自分自身の汚職や政策の失敗をごまかすために、一般大衆が外国人などを「悪者」と思い込むように誘導することもあります。外国人に目を向けさせることによって、自分たちの責任をごまかし、本当の問題から目をそらさせようとするのです。
「憎しみ」によって世の中がより良くなることはありません。憎しみと扇動は、差別の横行や社会の亀裂を生み、その結果一般民衆がさらに苦しむことになりやすいのです。
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