社会保障とは、社会政策上、病気・障害・老齢・失業・出産・死亡などの生活上の不安や危険を社会保険制度などによって保障することをいいます。社会保障は戦争や失業などにより発生する貧困、障害などから人々の生活を守るために始まり、発展してきました。社会保障は、高所から落下した人を保護するセーフティーネットにしばしば例えられます。
社会保障は、社会のさまざまな歪みにより困難に陥った人たちを救済するために必要とされる制度です。また社会から脱落しようとしている人たちに社会復帰を促すためにも、社会保障は重要であるといわれています。本人の責任とは言いきれない理由により貧困に陥った人々は社会が救うべきだというのは、理にかなっているというべきでしょう。
しかし社会保障を発展させていくと、その費用が増大し国家財政を圧迫する事態になっていきます。保障を拡大することで、社会保障の対象者と支給金額が増え、そのため一般の労働者たちの社会保険費が増えたり、増税したり、あるいは国家の債務が増えたりすることになるのです。
社会保障が拡大すると、不正受給も増えてきます。働くよりも社会保障によりお金を受給した方が得だとなると、実際は働くことができるのに、働かずに社会保障のお金を受け取ろうとする人も増えてきます。不正受給のニュースが相次ぐと、社会保障制度そのものへの不満も増大してきます。
社会保障そのものが持続可能でない場合もあります。少子高齢化が進むなどで維持できなくなるような制度は、国民の将来への不安を増大させます。
社会保障はそもそも、社会の歪みを補うために始まったものです。しかしながら、その社会保障が大きな負担になり、社会そのものに大きな歪みをもたらそうとしています。
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